■調査の背景
2018年6月18日7時58分頃に発生した「大阪府北部地震」(最大震度6弱)において、地震発生後の近畿圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)の人々の心理や行動を把握することで、今後の防災対策のあり方を探ることを目的として、調査を実施しました。
■調査結果のポイント
・都市の物流機能の脆弱性が示された。
「普段とは異なる消費行動をした人」は3割程度であり、「水」「インスタント食品」「米やパン」を通常よりも多めに買ったという人は1割~2割程度に過ぎない。しかし、周知のとおり、大阪のスーパーやコンビニではモノ不足が生じ、「スーパーやコンビニが品薄で十分な買い物ができなかった」人は6割にも達する。ごく少数の人の行動でも、都市の物流機能がマヒするという都市の脆弱性が示された。
なお、これは、2011年の東京大学・サーベイリサーチセンターの東日本大震災の共同調査研究の結果とほぼ同様の結果である(https://www.surece.co.jp/research/1770/)。
■調査概要
・調査地域:近畿圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)
・調査対象:調査地域に居住する20歳以上の男女個人
・調査方法:インターネット調査(モニタに対するクローズド調査)
・調査内容:地震発生後の買物行動/備蓄状況/地震発生後に困ったこと/うわさについて
・有効回答:800サンプル
・調査期間:2018年8月23日(木)~2018年8月29日(水)
■調査結果
▼ 対象者の属性
・地震発生後1週間で物流に関することで困った人は「とても困った」「やや困った」をあわせると14.2%である。
・地震発生後1週間で物流が途絶えて困った内容は、「スーパーやコンビニが品薄で十分な買い物ができなかった」が6割以上となっており、大阪府北部地震発生後にモノ不足が発生し、買物が困難な状況が発生していた。
・大阪府北部地震発生後の買物行動としては、「普段と異なる消費はしていないと思う」が6割以上であり、3割以上の人が普段と異なる買物をしていた。具体的には、「地震(余震)に備えて様々なものを買った」(22.9%)、「モノ不足になっているのを知ったので、備えとして様々なものを買った」(15.8%)、「停電に備えて、様々なものを買った」(9.6%)となっている。
・「通常よりも多めに買った」具体的な商品は、水、インスタント食品・冷凍食品、米やパン、ティッシュやトイレットペーパーとの回答が高い。
・大阪府北部地震が発生した後の商品を購入したきっかけをみると、いずれの商品も「地震(余震)に備えて」が7~8割台を占める。
・ティッシュやトイレットペーパー、水、米やパン、インスタント食品・冷凍食品については、購入のきっかけとして4人に1人が「モノ不足になっているのを知ったので」と回答しており、買いだめ傾向がみられる。
・購入目的は、いずれの商品も「自宅の備蓄のため」がトップとなっている。
・一方、ガソリン、電池、救急医療品など、一部の商品については「商品を購入することで安心するから」という目的で購入している。