・調査項目:自動車交通量調査
・調査手法:(1)DSRC路側機を用いた計測
(2)人手のカウンターを用いた計測
(3)ビデオ撮影による画像解析技術を用いた計測
・調査日時:2022年12月23日(金)9:00~17:00(連続8時間)
・調査場所:東京都北区田端1丁目、2丁目付近の都道458号線(白山小台線)東台橋~童橋間
■調査結果のポイント
・本調査の検証結果では人手カウントと比べ、約80%の車両のWCNを読み取ることができた。
・WCNはそれぞれの車載器固有の情報なので複数地点で計測を実施することで、経路調査や通過時間調査に活用することができる。
・電波を使用するので昼夜問わず同精度で計測が可能である。
・DSRC路側機の設置には無線局免許の取得が必要であり、電波の発射、停止には第三級陸上特殊無線技士の資格取得と無線従事者としての登録が必要である。
DSRC(Dedicated Short Range Communications)とは日本語では「狭域通信」と訳され、路側機とETC車載器間での狭い範囲(数m~30m程度)を対象とする5.8GHz帯を利用した双方向の無線通信方式のことです。現在では主に高速道路の料金収受用装置にこの技術が用いられています。
DSRC路側機から電波を発射することで、通信領域に存在する車両に搭載されているETC車載器のWCNを読み取ることができ、実際にETCの認証や高速道路料金の支払いに活用されています。
また、平成24年からは従来のETCをバージョンアップしたETC2.0が本格的に導入されるようになりました。ETC2.0とは道路側のアンテナであるITSスポットとETC車載器同士を高速・大容量による双方向通信でつなぐことで、利用者に渋滞回避ルートの案内や安全運転支援情報、災害時の支援情報を提供するサービスのことです。ETC2.0の普及率は令和4年11月現在で29.4%となっています。
国土交通省ではETC2.0で得られたデータを交通安全対策や渋滞対策等の検討にも活用しており、ETC2.0のさらなる普及を促進しています。
※WCN:
Wireless Call Numberの略称でETC車載器がもつ固有のIDのことを指す。
※ITSスポット:
車両と高速・大容量通信の双方向通信を行うために道路上に整備されているDSRC路側機を指す。
現在では全国の高速道路上を中心に約1,600箇所に整備されている。
<仮 説>
DSRC路側機はETC車載器が発する電波を取得するため、ETC車載器を搭載していない車両は感知せず計測の対象外となります。
一般財団法人ITSサービス高度化機構によると平成31年時点での自動車保有車両数を基としたETC車載器新規セットアップ累計件数の割合は81.0%となっており、本検証におけるWCN取得率は実際の車両の通過台数と比較して8割程度になると想定できます。
<検 証>
DSRC路側機で取得した車両台数と、同一箇所で同一日時に調査員が計測した調査結果を比較検証します。
複数箇所へ機器を設置し計測することで、地点間のデータのマッチングの精度も検証します。
DSRC路側機の精度を検証するために同地点、同時刻で計測を実施した人手カウントと集計結果を比較した。
なお、二輪車については高速道路を走行できない総排気量125CC以下の自動二輪車や原動機付自転車が含まれてしまうため、ETC車載器の搭載している車両が少ないことから今回は比較対象外とし、二輪車を除いた自動車計を人手カウントの数値として用いている。
・人手カウントの計測結果を100%とした場合、DSRC路側機でのWCN取得率は8時間合計値で方向1が83.6%、方向2が81.7%であった。
・方向1ではWCN取得率の最高値が10時台の86.4%、最低値が9時台の76.4%であり、9時台を除く7つの時間帯でWCN取得率が80%以上になった。
・方向2ではWCN取得率の最高値が16時台の83.4%、最低値が13時台の78.9%であり、12時台と13時台を除く6つの時間帯でWCN取得率が80%以上になった。
・人手カウントとDSRC路側機それぞれの時間比率の差を比べると、方向1の9時台が-1.4%と最も差が大きかったがそれ以外では差が±0.5%以内に収まる結果となった。
DSRC路側機の精度を検証するために同地点、同時刻で計測を実施した画像解析と集計結果を比較した。
なお、二輪車については高速道路を走行できない総排気量125CC以下の自動二輪車や原動機付自転車が含まれてしまうため、ETC車載器の搭載している車両が少ないことから今回は比較対象外とし、二輪車を除いた自動車計を画像解析結果の数値として用いている。
・画像解析結果を100%とした場合、DSRC路側機でのWCN取得率は8時間合計値で方向1が84.9%、方向2が81.1%であった。
・方向1ではWCN取得率の最高値が12時台の86.9%、最低値が9時台の78.9%であり、9時台を除く7つの時間帯でWCN取得率が80%以上になった
・方向2ではWCN取得率の最高値が16時台の84.1%、最低値が13時台の75.8%であり、12時台と13時台を除く6つの時間帯でWCN取得率が80%以上になった。
・画像解析とDSRC路側機それぞれの時間比率の差を比べると、方向1の9時台が-1.2%と最も差が大きかったがそれ以外では差が±1.0%以内に収まる結果となった。
・WCN取得率や時間比率の比較結果は人手カウントとの比較結果と似た傾向になった。
※画像解析に用いたビデオ撮影は東台橋付近で実施したため、東台橋側のDSRC路側機観測データと比較
2地点のWCN取得情報をマッチングさせたところ以下のような結果となった。
・方向1(A→B)では人手カウント100%とした時、AB両地点で計測できた割合が75.2%となりDSRC路側機で未計測の台数を除いた時、AB両地点で計測できた割合は83.0%となった。
・方向2(C→D)では人手カウント100%とした時、CD両地点で計測できた割合が73.3%となりDSRC路側機で未計測の台数を除いた時、CD両地点で計測できた割合は88.6%となった。
※観測対象領域に駐停車車両等が発生すると自動車の動線が変わり、観測対象車両が観測範囲から外れ欠測が生じる恐れがある。
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