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自主調査レポート

在留外国人総合調査 「日本語学習について」

社会課題
2020/09/23
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・地域調査 全国
      但し、居住地は登録モニターの居住地に準じた。
・調査方法 インターネット調査(インターネットリサーチモニターに対するクローズド調査)
・調査対象 20歳以上男女モニター
      ※モニターはリンクオブアジアへの登録者105カ国約15,000人のパネルを活用。
      国別対象の設定は、2019年末法務省「国籍・地域別在留外国人数の推移」の構成比を参照し設定した。
・調査項目 属性項目を含めて70問
・有効回答 1037サンプル
・調査内容 基本属性/保健・福祉(コロナウイルス感染症等の防疫対策)
・調査機関 2020年(令和2年)3月27日(金)配信開始~4月17日(金)調査終了

・わが国では、在留外国人の受け入れに関して、出入国管理法が2018年12月に改正され、2019年4月から施行されています。この改正法は、在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設、出入国在留管理庁の設置等を内容とするもので、より多くの外国人が我々と一緒に居住し、働くための環境が整備されていくことになります。 一方で、こうした外国人を受け入れる我々の側にも、「受入準備」や「人権意識」「多文化共生意識」等、多くの課題を抱えています。また、外国人側も「日本の規範知識」「教育、言語、雇用、医療・保健・福祉、災害」等に関する知識も不足しているのが現状です。

・わが社では、これまで多くの自治体での「健康・介護・福祉・共生・観光・防災・教育」等の計画策定に携わっています。また、近年では持続可能な社会を目指して、事業への取り組みに「SDGs」の視点を含めてもいます。 こうした現状の中で、今後増加し生活を共にしていく「在留外国人」に関する総合的な調査が少ないため、このたび「在留外国人を対象とした総合調査」を実施いたしました。

・今回は「在留外国人を対象とした総合調査」の内容について、「日本語学習」の視点から、関連項目を概括したレポートを報告いたします。

総括

・日常生活のあらゆる場面で日本語が飛び交い、日本語の文字が踊る。そのため、在留外国人が日本で暮らしていくためには、日本語の理解力が大きな鍵を握る。職場でも、地域でも、学校でも、多くのトラブルは日本語がわからないことに起因すると考えられる。

・本調査では、様々なテーマとあわせて在留外国人の日本語学習の状況についても聞いている。分析の結果、現在進行形で日本語を学習している人が8割にのぼり、5割が独学であることがわかった。また、今学んでいなくても3人に2人は日本語の学習意欲があることもわかった。一方で、仕事が忙しく、日本語を学ぶ時間を確保できないでいる人が多いこともわかった。在留外国人の9割が、日本語がわからないことで困った経験があることもわかった。

・自治体による外国人向けの日本語学習支援の取り組みは、まだ始まったばかりである。とはいえ、入管法の改正により、今後在留外国人が一層増加するものと想定されることから、日本語教育の重要性は高まるばかりである。本人たちには学習意欲がある。受け入れる日本人側にとっても日本語のわかる在留外国人であればコミュニケーションが容易になる。慣行やしきたり、ルールやマナーが理解できれば、双方にとってWin-Winの関係が築ける。この調査結果が、日本語のわかる在留外国人を増やす取り組みを、速やかに充実させる一助となれば幸いである。

1.日本語を学習している人は8割、5割が独学

・日本語の学習状況については、「独学で(インターネットやアプリ等)」が35.9%、「独学で(教科書やテレビ等)」が29.5%、「職場で学んでいる」が28.1%、「友だち(日本人)から学んでいる」が24.8%などとなっている。

・以前も今も学んでいない人は19.2%で、8割以上が現在進行形で日本語を学んでいることがわかる。学んでいる人たちは、様々な選択肢がある中で、『独学で』学ぶ人が多く、50.3%と半数を超える。一方で「日本語教室」の利用者は多いとは言えず、その存在やアクセス方法、利用方法などの周知が必要な状況にある。

2.今学んでいなくても3人に2人は日本語の学習意欲あり

・現在日本語を学んでいないと回答した199名について、日本語学習の意向をみると、「日本語を学びたい」が65.3%、「日本語を学びたいと思わない」が34.7%となっており、総じて日本語学習意欲は高い。

・女性40代以上では、「日本語を学びたい」が88.2%に達する。この年齢層では、子どもが小学校高学年から中学生になると考えられ、簡単な日本語だけでなく難しい日本語も理解しないと、子どもと日本語でのコミュニケーションが難しくなったり、子どもの勉強をみてあげられなくなったりすることも、学習意欲が高い理由の一つと考えられる。

・「日本語を学びたい」は3年以内の居住者で70%、4~9年の居住者で68.5%、10年以上の居住者で56.9%となっており、日本での居住経験が短いほど学習意欲が高い傾向にある。そのため、来日直後からの日本語学習をいかに支援できるかが鍵と言える。

3.仕事が忙しく、日本語を学ぶ時間的余裕のない人が3割

・現在日本語を学んでいないと回答した199名について、日本語を学んでいない理由をみると、「もう十分に日本語ができているから」が48.7%、「仕事のため、日本語を学ぶ時間的余裕がないから」が30.2%、「学ぶ意欲が湧かないから」が20.1%などの順になっている。

・「もう十分に日本語ができているから」と回答した人たちはよいとして、そうでない人たちが半数おり、その最も多い理由が仕事の忙しさであり、仕事によって十分な日本語学習の時間が確保できないことは大きな課題と言える。

4.9割が日本語で困ったことを経験

・過去1年間に日本語で困ったことについては、「病気になったとき」が26.3%、「市役所や区役所の窓口で」が24.6%、「仕事を探すとき」、「働いているとき」が24.3%となっており、この4項目が25%前後という結果となった。「困ったことはない」は9.9%で、大半の人が日本語で困った経験があることがわかる。

・在留外国人一人ひとりの置かれている境遇によって、様々な場面で様々な日本語での困りごとが発生している。困りごとを一つひとつ収集してデータベース化し、多くの似たような困りごとがあれば、優先的に解決方策を示していくことで、在留外国人の住みやすさの向上につなげられるものと思われる。

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