・調査対象:大阪市内に在住の20歳以上男女個人
※調査対象地点は、東淀川区、西淀川区、旭区、住吉区、福島区、大正区、港区、西成区、淀川区、生野区など、
計15区(台風21号による停電、またその復旧までに長期間を要した区)を中心として選定した。
※調査対象者は、調査対象地点内で調査員が無作為に居宅を抽出して協力を依頼し、性別・年代別の割当数を
目標に決定した(ランダムウォーク法,クォータ法)。
・調査方法:面接調査法(個人)
・調査内容:事前情報による行動/台風当日の行動/台風発生後に困ったこと/防災に対する備えなど
・有効回答:303サンプル ※区別の回収数は下記の通り
・調査期間:2018年9月10日(月)~9月18日(火)
2018年9月4日に、非常に強い勢力を持つ台風21号の上陸による暴風雨により、建物等への被害や長期にわたる停電、通勤・通学など日常生活に様々な影響が発生しました。
大阪市内に在住の住民が「事前に情報を把握していたか」「情報を受けてどのような行動をとったか」などを明らかにし、今後の防災対策や効果的な災害発生時の情報発信方法のあり方を探ることを目的として、調査を実施しました。
・事前の報道等は全員が見聞きしており、これにより「いつもの台風と違う状況になると思った」(71.3%)が約7割と高い一方で、「避難を具体的に考えるべきだと思った」(23.5%)が
2割程度と、避難を考えた人は少ない結果となっている。
・台風の事前情報による準備行動は、「テレビやラジオの情報に注意した」(73.6%)が特に多く、次いで「パソコンや携帯電話・スマートフォンなどで情報を収集した」(40.3%)となっており、多くの人々が情報収集を行っていた。
・「非常用の食品や飲料水」「非常持ち出し品」の用意・確認をした人は3割未満と少ない。
・実際に上陸した台風は、「想像していた強さよりも強いものだった」が81.2%と、住民の想像以上の威力であったことがうかがえる。
・事前情報での台風の威力の想定別にみると、いつもの台風と同じ状況だろうと思っていた人(2ページ:A.いつもの台風と違う状況になると思ったで「あまりそう思わなかった」または「全くそう思わなかった」と回答した人)では「想像していた強さよりも強いものだった」が9割以上を占めている。また、いつもの台風と違うと想定していた人でも、7割以上が想像よりも強いものだったと回答している。
・公共交通機関の早めの措置は、「危険や混乱を避ける上で、必要なことだと思う」(72.9%)、「通学や通勤に影響は出るが、休校や休業の判断にもつながるので必要なことだと思う」(20.5%)と、必要性を感じている住民が多い。
・通勤をともなう仕事に従事している人の当日の行動は、3割以上が「いつもと同じように出勤した」(34.3%)と回答しており、「出勤途中で、どこかに留まらざるを得ず、いつもより時間がかかった」(3.7%)と合わせると、約4割が出勤している。
・当日もしくは前日の勤務先からの指示では「(出勤しないように)指示が出た」は45.5%、「指示は出なかった」が49.3%と同程度となっている。
・台風・風水害の発生に関する出勤判断などのルールについては、3割以上が「事前に決めていることは特になかった」(34.3%)と回答しており、勤務先での出勤に関する判断基準やその連絡方法等についてのルール設定の重要性が示されている。
・テレビ・ラジオの防災情報での台風や大雨に関する警報や危険への注意については、「注意を喚起するために、積極的に強く発信した方がよい」が69.3%、「気象情報や警報などの内容を、正確に冷静に伝えればよい」が26.1%と、積極的な強い発信を望む人が多い。
・自宅や居住地区における台風の被害では、「停電」(97.7%)、「暴風による建物等の損壊」(84.8%)、「電柱や樹木の倒壊・破損」(74.9%)が特に多く、次いで「コンビニエンスストアやスーパーでの物資不足」(46.5%)、「自動車類の転倒、追突、破損など」(27.4%)となっている。
・台風当日以降に困ったことは「停電にともなって、様々な機器等の使用ができなくなった」(94.1%)が最も多かった。また、停電による情報機器の使用の制約もあり「ライフライン(電気・ガス・水道など)の復旧見通しなどの情報の不足」(52.8%)の回答が多く、災害時及び災害後においても情報提供の重要性が示されている。
・居住地区での自主防災組織及び消防団については、ともに「わからない」の回答が最も多くなっており、地域での防災活動を担う組織の存在がわからない住民が多い。
・居住地区における防災に関する活動は、「あまり活発に活動していない」(26.1%)と「活発に活動していない」(15.8%)を合わせると、4割以上の住民が活発な活動をしていないと感じている。
・4割近くが活動状況について「わからない」(38.0%)と回答しており、居住地区における防災活動に関する情報の浸透と、市民一人ひとりの関心が課題といえる。
・災害時の備えとして取り組もうと考えていることは、停電にともなう断水や物資不足など、被害の長期化を考慮した「食料・飲料水などの備蓄」(69.6%)が特に多く、次いで「非常持ち出し袋の用意」(49.8%)と回答している。
・また、今回のような想定以上に強い台風の上陸を経験したことにより、「気象情報等への理解を深める」(49.5%)とともに、「避難場所や連絡手段を家族などと話し合う」(42.6%)、「自治体からの避難勧告や避難指示の情報に従う」(36.6%)などの避難に関する取り組みへの回答も多くあがった。
・今回の台風を受けての今後に向けた災害(停電)への備えやアイデアを自由にお聞きしたところ、特に多い意見は「懐中電灯・ランタン」「ラジオ」「乾電池」であった。また、いざという時にそれらの機器が使えなかった経験から、日頃の点検・確認が重要との意見もみられた。
・携帯電話・スマートフォンで情報を入手している人が多く、モバイルバッテリーや電池式、手動式などの「充電機器」の対策に関する意見も多かった。
・マンション等の集合住宅に居住している方では、長時間に及ぶ停電にともなって電力を必要とするポンプの停止による断水の経験者も多く、「食料品」とともに飲料水・生活用水などの「水」の備蓄に対する意見も多かった。
・いざというときの避難場所が分からない、情報が入らないなどに対する不安を感じた人では、「日頃からの地域でのコミュニケーション」の重要性を改めて認識した人も多かった。