・調査地点:南海電鉄 関西空港駅(調査協力:南海電気鉄道株式会社)
・調査対象:2018年6月18日に近畿圏に滞在した訪日外国人旅行者
・調査方法:外国語の話せる調査員による質問紙を用いた面接聞き取り調査
・調査内容:地震発生時の行動/宿泊施設の避難誘導について/地震発生時に困ったことなど
・有効回答:152サンプル
・調査日 :2018年6月21日(木)
2018年6月18日7時58分頃に発生した「大阪府北部地震」(最大震度6弱)において、当時近畿圏に滞在していた訪日外国人旅行者が「どのような行動をとったか」「避難時に困ったことは何か」などを明らかにし、今後、さらに増加が見込まれる訪日外国人旅行者に対する災害発生時の情報発信方法や、受入環境のあり方を探ることを目的として、調査を実施しました。
・地震発生時に思ったことについては、「今後の地震の発生が気になった」が40.8%、「旅行日程が心配になった」が39.5%で共に約4割、次いで「身の危険を感じた」が34.9%となっている。
・地震がおさまった後の行動は、「テレビやラジオで地震情報を知ろうとした」「インターネットやSNSで情報を得ようとした」「インターネットやメール、SNSのフェイスブックやライン等で家族や友人と連絡を取りあった」が5割前後と高く、地震がおさまった後、人々は「テレビやラジオ」「インターネット」「SNS」等を通じて情報収集や安否確認を行っていたことがわかる。
・避難や旅行行程などの情報入手には、約半数が「日本のテレビ・ラジオ」(50.7%)を利用していた。
・以下、「母国のWEBサイト」(29.6%)、「宿泊先の従業員」(26.3%)、「日本のWEBサイト」(22.4%)、「知人へ電話やメール」(16.4%)、「同行の日本語ができる人」(15.8%)等が続いており、即時性や情報量の多さからテレビ・ラジオを利用する一方で、訪日外国人旅行者として言葉が理解しやすい情報源・方法も併用しようとした様子がうかがえる。
・地震発生時に困ったことは「すべての日程が狂い多額の負担が生じた」(36.2%)が最も多かった。また、地震による不測の状況と情報不足から、「今後の旅行日程がどうなるのか想定ができなかった」(27.0%)との回答が多かった。
・旅行行動を定めるための情報収集においても、「言葉がわからずどこに行けばよいかわからなかった」(23.7%)、「交通機関の情報などがわからなかった」(23.0%)、「テレビ等での地震の放送が理解できなかった」(21.1%)、「外国人向けの地震避難のマニュアルが無く行動が理解できなかった」(20.4%)といった言語の課題が多く、災害時の情報提供における多言語対応の重要性が示されている。
・地震発生時に希望する対応は「スマートフォン等で災害・交通・交通・避難情報の提供を多言語でして欲しい」(52.0%)、「母国語のマニュアルを配布してほしい」(48.7%)が特に多く、次いで「避難誘導などわかる言語でしてほしい」(40.1%)となっている。
・地震発生時の宿泊施設での避難誘導については、「避難誘導があり理解できた」(24.8%)、「避難誘導はあったが日本語で理解ができなかった」(9.4%)で、避難誘導があったとの回答は合わせて約34%となる。そのうち約7割が「理解できた」と回答しているが、約3割は「理解できなかった」と回答していることになる。
・全体の約6割は、避難誘導が無かったと回答している。
※選択肢は「避難誘導は無く自分で避難した」としているが、【地震発生後に避難した場所】への回答から
みる限り、実際に避難行動をとった割合は低く、全体の約75%が「避難しなかった」と回答している。
・宿泊施設到着時の避難についての事前説明の有無については、「なかった」が70.1%、「あった」が15.4%であった。
・宿泊施設到着時の避難の事前説明が「なかった」「わからない」と答えた人のうち、39.4%が事前の説明があればスムーズに行動「できたと思う」と回答し、「たぶんできたと思う」(29.3%)を合わせると7割近くの旅行者が、事前説明の必要性を感じているようである。
・日本は地震が多い国であることについては、「わかっていた」が88.2%と最も多く、「まあわかっていた」(7.2%)を含めると、ほとんどの訪日外国人旅行者は、日本は地震が多い国であることを認識した上で来日している。
・今回の地震を経験した上で今後の訪日意向をたずねたところ、8割以上の人が「今後も日本には来たい」(82.9%)と考えている。